2023年度 第23回本格ミステリ大賞

【小説部門】『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』白井智之(新潮社)
【評論・研究部門】『阿津川辰海 読書日記』阿津川辰海(光文社)


5月12日開票の結果、大賞が以下の通り決まりました。候補作の獲得票数は以下の通り。
全選評は「紙の手帖」vol.11に掲載されます。

【小説部門】有効投票数 55票
『名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件』白井智之(新潮社) 29票
『名探偵に甘美なる死を』方丈貴恵(東京創元社) 11票
『方舟』夕木春央(講談社) 7票
『時計屋探偵の冒険 アリバイ崩し承ります2』大山誠一郎(実業之日本社) 5票
『揺籃の都 平家物語推理抄』羽生飛鳥(東京創元社) 3票

【評論・研究部門】有効投票数 27票
『阿津川辰海読書日記』阿津川辰海(光文社) 9票
『円居挽のミステリ塾』円居挽他(星海社) 6票
『怪異猟奇ミステリー全史』風間賢二(新潮社) 5票
『松本清張推理評論集1957-1988』松本清張(中央公論新社) 4票
『シャーロック・ホームズの建築』北原尚彦(文)、村山隆司(絵・図)(エクスナレッジ) 3票

受賞の言葉

  白井智之
 名探偵が閉鎖空間に閉じ込められ、次々と起こる殺人事件の解明に挑む。そんな本格ミステリのど真ん中にあるような作品が好きです。とはいえ王道ゆえの難しさ、ごまかしの利かなさも想像でき、自分で書くには覚悟がいるとも感じていました。今回、そんな「真ん中」を目指した作品で栄誉ある賞を頂くことができ、大変嬉しく、光栄に思っています。本作を読んで頂いた方、出版に関わってくださった方、そしていつも驚きと興奮を与えてくれる本格ミステリというジャンルに、心からの感謝とお礼を申し上げます。

  阿津川辰海
 毎日のように本を読み、毎日のようにミステリーのことを考えてきた成果に、このように望外の評価をいただけたことを本当にうれしく思います。都筑道夫、法月綸太郎両氏の背中を追いかけつつ、内藤陳『読まずに死ねるか!』、小林信彦『地獄の読書録』のように読み応えのある新刊時評を心がけましたが、文字数制限がないWEB媒体の強みを生かして好き放題やれました。「今日もミステリーが面白い!」とこれからも伝えていきます。